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講演題目: オペランド表面ナノプローブ計測技術の開発と電池応用
Development of Operando Surface Nanoprobe Characterization Technology and the Battery Applications
所属: 国立研究開発法人物質・材料研究機構 先端材料解析研究拠点
Research Center for Advanced Measurement and Characterization,
National Institute for Materials Science
オペランドとはラテン語で動作中 (working)を意味する。オペランド観測の概念は今世紀初めに触媒分野において提案され、「反応中の触媒材料の分光計測が触媒活性と選択性の測定と同時に結合」したものとされた。その後、触媒分野に限らず、 “実動環境における直接的な計測”がオペランド計測と呼ばれる。初期においては分光的計測手法に限定的であったが、近年では、ToF-SIMSや走査型プローブ顕微鏡法(SPM)などを用いたオペランド・表面ナノプローブ計測法にまで拡張されている。次世代太陽電池や革新的二次電池(全固体リチウムイオン電池等)においては元素分布や形状のみならず動作中の電位分布を理解することがデバイスの機能向上に資することから、直接的に電位をナノ計測することが求められている。我々はケルビンプローブフォース顕微鏡(KPFM)を中心として、SPMによるオペランド・表面ナノプローブ計測の開発を進めてきており、世界最高水準の高分解能計測を実現している。
本講演では全固体リチウムイオン電池や次世代太陽電池等の実働環境内部電位ナノ計測への応用事例について紹介する。
講演題目:AFMナノメカニクスを用いた高分子材料研究
Research on Polymeric Materials by AFM Nanomechanics
所属:東京工業大学 物質理工学院
Department of Chemical Science and Engineering
School of Materials and Chemical Technology
Tokyo Institute of Technology
本発表では原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、高分子材料のナノスケール力学物性解析を行う手法について紹介する。
AFMは先端の鋭い探針で測定対象の表面をなぞることで表面の凹凸像を得る、いわゆる触針式表面形状測定器の一種である。一方、探針を表面に沿ってなぞるのではなく、表面に対して押し付け、変形させることでその部分の硬さなどの力学的情報を得るためにAFMを用いることもできる。いわゆる硬度計、インデンターや接着・粘着業界であればプローブタック試験のプローブだと思っていただければ良い。
重要なのは、探針先端の鋭さのために、ナノメートルという高い空間分解能で力学試験を行うことができる点にある。高分子に限らず材料は多数の構成成分からなる複合材料であることが多い。それらの協奏の結果として巨視的なメカニクスが実現するわけであるが、ナノの世界を覗き込み、それぞれの構成成分がどのような役を演じているのかを調べるのが、筆者らが標榜する「AFMナノメカニクス」である。
当日は、事例紹介として高分子ナノコンポジットや高分子アロイを対象に行った研究についても述べる予定である。
講演題目: 表面・局所分析の基礎と将来
Basics and Future of Surface Analysis and Micro-Beam Analysis
所属:TDK株式会社 半導体解析センター
TDK CORPORATION Semiconductor analysis center
分析データをAIやMIなどデータサイエンスを活用するためには、できるだけ正しいデータを使うことが課題解決の精度向上につながる。
表面分析において、正しいデータを得るためには、まずは、正しく試料を扱わねばならない。ISO 18116 とISO 18117に表面分析を行う前の試料の取扱いおよび試料準備と試料装着法に関するガイドラインが示されている。これらのISO規格を通じて表面・局所分析における基礎的な試料準備について述べる。
また、材料開発、デバイス開発およびその過程における不具合解析、製品における故障解析に実施に際して、正しい結果を得るためには、様々な角度から分析・解析する複合解析技術に取り組んできた。3次元形状測定AFM (CD-AFM)と走査型透過電子顕微鏡(STEM)、アトムプローブ トモグラフィー(APT)と高傾斜高感度AES深さ方向分析など異なる分析手法を組み合わせた複合化の事例を紹介する。
それぞれの測定結果を複合的に解析するための取り組みとして、個別の装置群をサイバー空間内で統合し、複合解析を可能にするCyber Physical System(CPS)型複合計測分析について日本学術振興会計測分析プラットフォーム第193委員会で議論されている。ビッグデータやAIとも連携し、更に付加価値の高いデータ創出を目指す分析技術の将来について概観する。
講演題目:化合物半導体自己組織化量子ナノ構造及びSPM観察
Self-Organized Quantum Nano-Structures of Compound Semiconductor and SPM Observation
所属:関東学院大学 材料・表面工学研究所
Kanto Gakuin University
Materials and Surface Engineering Research Institute
走査型プローブ顕微鏡 (SPM ; Scanning Probe Microscope) の高い分解能により、従来には不可能であった物質の表面をナノオーダーで観察・分析できるようになり、半導体量子ナノテクノロジーの分野は、大きく恩恵を受けた一つでもある。
精密に制御された結晶成長法により半導体ウェハの上に数Å~数十 nmサイズの量子ナノ構造を作製することにおいて、SPMはとても有効な観察・測定手段である。即ち、量子ナノ構造の表面形状だけではなく、電気的特性、分子が結合していく様子などを詳しく解析することが出来、その結果を結晶成長にフィードバックさせることによって、より最適な条件を極めるための一番有効な手段であった。
さらに、量子ナノ構造の形状を変えることで、新しい機能をもたらすことができ、半導体レーザー以外にも単電子トランジスタ、量子コンピューター、75%の高効率の太陽電池などへの先進的な研究も進められている。
物質を構成している個々の原子や分子を観察・分析できるSPMにより、個々の原子や分子を操作できるなど、さらなるナノテクノロジーの発展により、新しい機能を持つデバイスの開発に大きく貢献できると考えられる。
講演題目:ウルトラファインバブル低濃度オゾン水によるABS樹脂の新規表面改質法
Novel Surface Modification Method for ABS Resin Using Ultra Fine Bubble Low-Ozonated Water
所属:関東学院大学 材料・表面工学研究所
Kanto Gakuin University
Materials and Surface Engineering Research Institute
近年話題のファインバブルは数兆円産業になると大きな期待をされ、農水産業・医療分野等への幅広い応用が展開されている。また、CMでもシャワーやシンクなどの清浄効果がうたわれ、比較的安価で販売され始めた。しかし、工業的には半導体ウエハの不純物除去等の洗浄分野に多く応用され、清浄化以外の利用は極めて少ない。
そこで、ウルトラファインバブル(UFB)と約2 ppmの低濃度オゾン水を融合したグリーンサスティナブルケミストリー対応の樹脂表面改質法を考案し、汎用樹脂であるABSへのエッチング(表面粗化)に適用できる事を見出した。
本研究は、現状世界的に使用されている樹脂へのめっき前処理のキイである有害な6価クロム含有のエッチング液の代替が期待できる。この6価クロムは排水基準が厳しく、排水処理コストに大きな負荷が掛かる。特にREACH規制では、更に厳しい高懸念物質の管理が要求され、2023年には使用出来なくなる可能性が極めて高い。
本処理システムはクローズド化により、水環境が日本と異なる地域でも稼働を可能とし、数ナノからサブミクロンの極最表面だけを改質するが、現状のクロム酸エッチングと同等の密着強度を示す優れた特徴がある。
講演題目:6Gに向けた低損失回路形成技術
Low-loss Circuit Formation Technology for the 6th Generation Mobile Communication System (6G)
所属:関東学院大学 材料・表面工学研究所
Kanto Gakuin University
Materials and Surface Engineering Research Institute
昨今、5G(第5世代移動通信システム)の展開が急加速しているなか、既に次世代通信となる6G(第6世代移動通信システム)が注目されている。5Gによりますます快適な生活環境が期待されるが、IoTによりインターネットに接続されるモノの数の増加に伴いデータ量も増大するため、数年後には5Gでは処理できなくなることが予測されている。このため、6Gの実現に向けた技術開発が活発化しつつある。ITU(国際電気通信連合)においても、2030年の6Gネットワーク実現に向け技術研究グループの構築が始まった。
5Gでは、高速・大容量化通信を実現する手段として、Sub6帯の3.7GHz帯と4.5GHz帯、ミリ波帯の28GHz帯が使われるが、6Gでは、5G以上の高速大容量通信を実現するために100 GHz超の周波数の利用が見込まれている。一般的に、信号が回路を伝搬する際に生じる伝送損失は周波数が上がるほど増大するため、それを低減するための新規材料開発と新たな導体形成方法が6Gの実現には欠かせない。
本報では、電子機器の重要構成部品であるプリント配線板にフォーカスし、低誘電特性を有する樹脂材料上への低損失回路の形成方法及び、工程数を大幅に削減化した新たな回路形成方法について解説する。
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